セカンドオピニオンについて

   

近年いろいろなところで聞かれるようになってきた医療用語のひとつに、
「セカンドオピニオン」というものがあります。

これは文字通り「第2の意見」あるいは「第2医の意見」などと訳されます。
ある医師の診察を受けている患者さんが、医療上大切な意思決定――
たとえば手術を受けるか、薬物療法を選択するか―――などを行う場面
などで、それまでの診療経過、検査結果などの資料をもとに、他の医師
の意見を聞き、判断の材料とすることを「セカンドオピニオンを求める」
といいます。

もともとこのような考え方は、民間の医療保険が発達したアメリカで、
患者さんの治療にかかるコストを、現在患者さんがかかっている医療
機関とは別の、第2医の治療方針に対する意見を聞いて、比較検討した
ことから出てきたとされています。

しかし、その後この考え方は、これより離れ、より積極的な意味合いを
持つようになってきています。すなわち、経済的な面というよりは、
むしろ患者さんがみずから受ける治療法について、その利点、欠点など、
治療後の生活への影響なども含め十分に理解し、選択決定していく上
での材料を提供していく、という意味あいで、使われるようになってきて
います。

具体的にはどのようにしていけばよいでしょうか?

患者さんは、まず、担当している医師から、ご自分の診療に関する
記録や検査結果などを検討資料として提供を受ける必要があります。

担当医の立場からみれば、自身の診療した結果を第三者である他の
医師に評価されることですから、医師自身、および患者さんとの関係に
おいて、なんらかの緊張感を伴うという言い方もできます。

しかし、医師の中でもセカンドオピニオンという概念は浸透してきており、
「現在診療中の患者さんからセカンドオピニオンを得たい旨の申し出が
あったときは、快く応じ、診療情報を開示すべきである」との考え方が
できてきています。

ましてや、ご自身の大切な治療について、十分納得してから決めたいと
考えるのは当然のことですから、患者さんは遠慮することなく担当医に
ご相談いただくのがよい、と思われます。東北大学付属病院にも
「セカンドオピニオン外来」が開設されたようです
(要電話予約、医事課セカンドオピニオン受付担当まで)。

ただ、当院のスタンスといたしましては、開業医という立場を踏まえて、
必ずしも正確な診療情報提供書をお持ちでなくても、専門の消化器分野を
中心として呼吸、循環器などの各分野についても、地域の皆様のご相談
にのる、また必要に応じて相談にのってくれる医師を紹介するといった形
での気軽なセカンドオピニオンから対応していければ、と考えています。
そのためにも、医師自身も研修を続けて、できるかぎり新しい医療の流れを
理解していく必要があると思っています。

参考文献:知っておくべき新しい診療理念、日本医師会発行(2005.2.1)